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2007年2月21日 (水)

支部研修事前課題②

【問題2】

所有者兼根抵当権の債務者である甲について、相続人丙(他の相続人は丁・戊)に相続登記がされている。根抵当権者Xとしては、甲の事業を引き継いだ丙と取引をしたい。この場合に相続の日から6ヶ月経過していない場合と6ヶ月経過している場合では、どのようにすればよいか。

【解答案】

 (6ヶ月経過していない場合)

丙を指定債務者とする合意の登記をすればよい。この場合、被担保債権は以下のとおりとなる

Ⅰ 相続開始の時に存する甲の債務(共同相続人の法定相続分に応じた相続債務)

Ⅱ 相続開始後に発生する丙の債務

ここで実務上問題になるのが、共同相続人が負っている相続債務である。通常は、丙以外の共同相続人は債権債務関係から離脱するのであるが、これをするためには次のいずれかの方法が必要になる。

A 相続開始後に丙に対して融資をして、相続債務を返済する(借り換え)

B 丙が他の共同相続人が負っている相続債務を免責的債務引き受けする

以上のA及びBの場合の登記手続きを検討してみると

Aの場合は、①相続による債務者変更登記 

        ②指定債務者の合意の登記

Bの場合は、①相続による債務者変更登記

        ②指定債務者の合意の登記

        ③他の共同相続人から引き受けた債務を被担保債権とするための被担保債権の範囲の変更登記

というようになる。ややこしいのはBの手続における③についてであり、被担保債権の範囲と同時に債務者を変更することが多い。この債務者変更は「指定債務者丙」を「債務者丙」に変更するのであり、丙から丙に変更ということで一見無意味に思えるが、登記実務上この変更登記をしないと追加設定の際の記載が複雑になるとの理由から債権の範囲の変更と併せて行うことがある。この場合、債権の範囲は「年月日債務引受(旧債務者 丁・戊)に係る債権」と「年月日相続による丙の相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものに係る債権」というものを加えることになる。

以上のように明らかにAの借り換えを行った方が効率が良いのであるが、実務上利率の問題や与信審査の問題でなかなか借り換えができないためBの方法によることが度々ある。

(6ヶ月経過している場合)

6ヶ月経過すると根抵当権は相続開始の時に確定したものとみなされ、相続開始の時に存する債務を担保する。本問の事例の場合、根抵当権者は相続人の一人である丙と取引したいということであり、通常は丙以外の共同相続人は債権債務関係から離脱することになり、甲の相続債務についても丙が単独で承継して行くことになる。

これをするためには、丙が他の共同相続人が負っている相続債務を免責的債務引き受けする必要がある。登記手続きは以下のとおりとなる

① 相続による債務者変更登記

② 免責的債務引受による債務者を丙とする変更登記

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