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2007年2月22日 (木)

支部研修事前課題⑤

【事例】
 不動産A

    所有者:甲

    1番根抵当権(根抵当権者:X 債務者:甲 共同担保目録あ)

    2番根抵当権(根抵当権者:Y 債務者:乙 共同担保目録い)

 不動産B

    所有者:乙

    1番根抵当権(根抵当権者:X 債務者:甲 共同担保目録あ)

    2番根抵当権(根抵当権者:Y 債務者:乙 共同担保目録い)

【問題1】

不動産Aについて、W税務署から滞納処分による差押登記がされた。根抵当権者X又はYは単独で元本確定登記をする場合、登記原因証明情報は何か。

【解答案】

本問の場合、民法第398条の20第1項第3号の確定事由に該当する。つまり、根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押があったことを知った時から2週間経過したときに元本は確定することになる。そして、不動産登記令の別表によると添付情報は「国税徴収法第55条の規定による通知を受けたことを証する情報」となっている。

この点について、登記先例(平10.10.23、民三第2,069号)があり、要約すると以下のとおりである。

① 催告等を受けたことを証する書面は、税務署長等から根抵当権者に対して送付された債権届出の催告書若しくは差押通知書をいう。

② 催告書等には、催告書等の発出年月日のほか、競売又は差押に係る物件の表示が記載されていることを要する。

③ 元本の確定の登記の申請書に催告等を受けたことを証する書面が添付されていないときは申請を却下する。

④ 申請書に記載された元本の確定の年月日が催告等を受けた書面の発出年月日の翌日から起算して2週間を経過するより前の日であるときは申請を却下する。
よって、具体的な登記原因証明情報は、①の催告書若しくは通知書ということになり、②~④の要件を満たしていないと登記申請は却下されるということになる。

なお、民法では「知った時から2週間経過」となっているが、登記申請書には「知った時を証する書面」の添付は必要ない。

私見として、2週間以上前の日付の差押の登記が載っている登記事項証明書も登記原因証明情報の要件を満たしているように思うのだが・・・。

【問題2】

問題1の場合、元本確定登記のみを申請することはできるか。

【解答案】

不動産登記法第93条に規定されてるとおり、この場合に根抵当権者の単独申請で元本確定登記をするためには、根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。理由は、民法第398条の20第2項に「・・・差押え・・・の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない」と規定されているためである。元本確定登記のみを申請することが出来ないとしたのは、根抵当権者が単独で申請した元本確定登記を差押の効力が消滅した際に根抵当権者と根抵当権設定者の共同申請により抹消しなければならないとすることは、元本確定登記に関与していない根抵当権者に負担を負わせることになり相当でないと考えられるからである。

【問題3】

根抵当権者XがZから代位弁済を受けた後、滞納処分による差押が抹消された。Zは、代位弁済による根抵当権移転登記を受けられるか。

【解答案】

本問の論点については、根抵当権者と代位弁済をした第三者のいずれを保護すべきかという観点から解釈が分かれるところであり、平成10年12月10日付で弁護士法第23条の2に基づく照会がなされており、それに対する回答という形で登記先例(平11.3.30、民三第642号)がある。

先例の要旨は以下のとおりである。

① 差押を受けて2週間以上の期間を経て、当該根抵当権の被担保債権について債権譲渡契約を締結した後、不動産登記法第93条(当時の119条の9)に基づき根抵当権者の単独申請による元本確定と根抵当権移転登記を申請する際、申請時において、既に元本確定の原因たる競売の申立が取り上げられているが、これに基づく差押登記の抹消が魅了である場合、元本確定登記と根抵当権移転登記は受理される。

② ①の場合に、申請時において、競売の申立の取下げを原因とする差押登記の抹消が完了している場合でも、元本確定登記と根抵当権移転登記は受理される。

③ ①と②の場合において、根抵当権移転の登記を申請する際、競売の申立の取下げ前に債権譲渡がされていたことを証するため、債権譲渡契約書等の添付が必要である。

④ ③において、債権譲渡契約に関して対抗要件を具備(通知又は承諾)したことを証する書面の添付は必要ない。

したがって、本問題の場合も根抵当権移転登記を受けることができ、競売の申立の取下げ前にされた債権譲渡契約書等が登記原因証明情報になる。

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