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2007年10月30日 (火)

債権譲渡登記

今日は、債権譲渡登記について頭を整理しておきます。

先日、依頼があった債権譲渡登記は「債務者不特定の将来債権の譲渡」でした。

まず、将来債権の譲渡の有効性ですが、現在では将来債権の譲渡が有効であるということについて異論はないと思われます。これについては、最判平成11年1月29日で譲渡に係る債権が将来発生する可能性が高いか低いかによって譲渡契約の有効性を左右しないものとされています。

また、将来債権の特定については判例で次のように判示しています。

「将来の一定期間内に発生し、又は弁済期が到来すべき幾つかの債権を譲渡の目的とする場合には、適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきである」(最判平成11年1月29日)

「予約完結時において譲渡の目的たるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足りる。この理は、将来発生すべき債権が譲渡予約の目的とされている場合でも変わるものではない」(最判平成12年4月21日)

この最高裁判例から債務者不特定の将来債権の譲渡については、次のとおり疑問がわいてきます。

債務者を特定しない将来債権の譲渡については、どのように考えるべきか?

債権譲渡についての民法の特例である債権譲渡特例法は、もともとは債務者が特定されていない将来債権については、譲渡債権として特定することができないし、債務者への通知もできないことから債権譲渡の登記を認めていませんでした。しかし、経済界から債務者を特定しない将来債権についても、これを譲渡して企業の資金調達に役立てるべき事情があることが指摘され、債務者不特定の将来債権についても登記の対象に含めるようにすべきことが強く要望されたため、債権譲渡特例法が改正されて債務者不特定の将来債権についても登記の対象とすることができることになりました。

債務者不特定の将来債権をどのように特定するのか?

将来債権の譲渡については、債務者の氏名等が最も中心的な特定の基準と思われますが、債務者不特定の場合には債務者以外の以下のような基準によって特定するものと考えられます。

①債権発生の原因となる契約ないし取引の種類

②債権発生の原因となる契約ないし取引にかかる商品や不動産等の目的物

③債務者となるべき者の範囲

④債権の発生時期

債務者不特定の将来債権の譲渡の対抗要件は?

債権譲渡の対抗要件は、第三者に対しては債権譲渡特例法により債務者不特定の将来債権の譲渡についても、登記がされたときは、民法467条の規定による確定日付ある証書による通知があったものとみなされるとされているのため、登記をすれば、その債権譲渡を第三者に対抗することができます。しかし、債務者に対しては、不特定であるので債権譲渡特例法による「債務者に登記事項証明書を交付して通知」したり「債務者が承諾」をすることは当然できません。したがって、譲受人が当該債権を取得したことを債務者に対抗するためには、債務者特定後に改めて登記事項証明書の交付による通知または債務者の承諾という対抗要件を具備する必要があります。

以上のように一つの依頼で大変勉強をさせていただきましたが、残念ながら今のところ債権譲渡登記の依頼は1件だけです。やっぱり田舎ではまだまだこのような登記は数が少ないのが現状です。

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