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2008年9月16日 (火)

反-貧困キャラバン 岐阜集会②

岐阜集会のメインとして、「貧困問題とは、どういう問題なのか」というテーマで湯浅誠さんの講演がありました。

講演では、まず、湯浅さんの取り組んできたことに沿って、貧困問題の歴史的な経緯を説明していただきました。湯浅さんが、ホームレス問題に取り組むようになってから、しばらくすると次第に国民全体の生活レベルが下がってきて、ネットカフェ問題が浮上し始めたそうです。そして、ネットカフェ問題も含めて「広義のホームレス問題」と称していたそうです。しかし、さらに「アパートに住んでいるが食べることができない」という相談が増えてきて、もはや「ホームレス問題」ではなくなり「貧困問題」と呼ばれるようになったそうです。

相談の特徴としては、①会社の業績悪化や自分のミスなどの理由で会社を退職する、②日々の生活が苦しいため日払い派遣の仕事を選択する、③仕事場所が遠い場合、交通費も出すことができず仕事に行けなくなる、④ライフラインや家賃の支払いができなくなる、⑤ホームレスか自殺を考えるようになる、という経緯とたどることが多いそうです。

こうなる前に相談をすれば良いと考えるのが普通なのですが、多くの人は相談する先を知らなかったり、「まだ自分で何とかしなければ」と考えて相談できなかったりしているうちに貧困に陥ってしまうそうです。

また、生活相談(貧困)と労働相談は、以前は明確にラインがあり分かれていたが、近年は非正規社員で貧困問題を抱えている人や名ばかり管理職などのように正規社員でも貧困問題を抱えている人が増えてきており、生活相談と労働相談の明確な線引きが出来なくなってきているとのことです。そして、生活相談と労働相談以外にも「多重債務」「メンタルヘルス」などの問題も絡んでいることが多くあるため、この問題を根本的に解決するためには、専門家のネットワークが非常に重要になるということでした。

また、現在の日本を所得別に見ると中間層が減ってきており貧困層と富裕層がそれぞれ増えてきているということです。そして、長時間労働を強いられている労働者も多くあり、その労働者はいわば「過労死か貧困か」の選択を迫られているような状況だそうです。富裕層の賃金を減らすなどの労働体系の修正が検討されているそうですが、日本の高額な教育費を例に日本の高支出体質も同時に考える必要があると指摘されていました。

さらに最近では正社員でも貧困問題を抱えている人が存在するそうですが、これらの人は正社員であるがために自分を貧困であるとは認識していないそうです。事実、生活保護基準による最低生活費以下で生活している正社員も存在するそうです。

また、セーフティーネットの検証として、①雇用のネット②社会保険のネット③公的扶助のネットが段階的にあり、公的扶助のネットから漏れることはないはずだが、実際には漏れている人がいるということでした。公的扶助のネットから漏れている人は、実際には家族が支えていて、このような人は意外と多くいるそうです。そして、家族が支えている貧困層が世代交代すると一気に貧困が溢れることを危惧されていました。さらに家族が支えられなくなった貧困者の多くは労働に戻ることになりますが、これらの労働者は「何でもやる労働者」となり、その結果、労働市場が悪化すると危惧されていました。

貧困の背景にあるものとして「五重の排除」をあげていました。つまり、①教育課程の排除(これにより貧困の世代間連鎖が生まれている)、②企業福祉の排除、③家族福祉の排除、④公的福祉の排除、⑤自分自身の排除、ということです。最終的には自分自身の排除をして「自分はこのままでいいんです」となるそうでして、この言葉が発せられる背景を良く考える必要があると感じました。

結論として、貧困を無くすためには社会資源の充実(生活相談・支援、トラブル対応、多重債務対応、緊急対応、精神的ケア、生活保護申請付添い、緊急貸付)と当事者のエンパワーメント(「居場所」の確保、自信を持つ、受け入れられる場、技能を活用できる場、自分が尊重される、友人ができる、情報を増やす)の両方が車の両輪のように無ければいけないということでして、それぞれの人が現在活動していることを少し広げてネットワークを作るべきだと指摘されていました。

2日間の大阪での研修の後に参加した集会でしたが、疲れも忘れて講演に聞き入ってしまいました。とても考えさせられる内容でした。

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コメント

兵庫にも9/25~9/28に反貧困キャラバンのキャラバンカーがやってきます。9/28には湯浅誠さんの講演も予定されています。私はまだ、生で湯浅さんのお話を聞いたことがないので楽しみにしていたのですが、小司さんのブログを読ませていただいてますます楽しみになりましたsmile

投稿: もてちゃん | 2008年9月16日 (火) 18時43分

もてちゃんさん、全国研修会お疲れ様でした。
湯浅さんの講演、本当に良かったです。
実体験に基づき、広い視野で分かりやすく的確に話をされる方でして、是非、一人でも多くの人に聞いてもらいたい内容でした。

投稿: 小司隆信 | 2008年9月16日 (火) 19時07分

全国研修と集会お疲れ様でした。
湯浅さんの講演よかったですね。分かりやすくそして自分が何をすべきか考えさせられました。
労働相談と生活相談の話のところで、「相談の受けてはプチコーディネーターとしての役割を求められている」という話が印象に残りました。相談者は、これからどうやって生活していったらよいか分からないから、多重債務相談であり、労働相談でありの相談会に電話したり足を運んだりするということを認識し、テクニックに走りすぎず、しっかりと相談に対応していきたいと思いました。

投稿: みやど | 2008年9月16日 (火) 20時53分

みやどさん、日曜日はお疲れ様でした。
みやどさんの司会も良かったですよ(笑)。
おっしゃるとおり、相談者の話をしっかりと聴いて対応しなければいけないということを改めて感じました。

投稿: 小司隆信 | 2008年9月17日 (水) 08時46分

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